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第56回史跡文化財セミナー「加牟那塚、穴塚周辺の古墳群」2013.2.24

報告が遅くなりすみません。第56回史跡文化財セミナーの報告です。

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山梨県指定史跡 加牟那塚(かんなづか)古墳 

平成25年2月24日(日)、甲府市にて平成24年度第5回目の史跡文化財セミナー、第56回史跡文化財セミナー「加牟那塚、穴塚周辺の古墳群」を開催しました。

*セミナーご案内

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甲府市指定文化財 穴塚

今回のセミナーは甲府市の北西部にある加牟那塚古墳や穴塚などその周辺を歩いて巡りました。

時間:午前10時~午後3時20分
参加者:33名

☆見学コース☆
10:00 集合・はじめの会 千塚公園(甲府市千塚) 金塚西遺跡
  ↓
山梨県指定史跡 加牟那塚古墳→称念寺(証文塚古墳)→
→千塚小学校(塚本遺跡)→史跡学習公園信玄堤→穴塚
  ↓
12:15 昼食(千塚公園)13:10
  ↓
万寿森古墳→湯志麻稲荷神社→湯谷神社→塩澤寺→大平古墳(1号2号)
  ↓
15:20 千塚公園

※見学地・説明地は主なところですべてを網羅していません。ご了承ください。

本セミナーは、いつもキャンパスネットやまなし連携講座でありますが、今回はこれに加え、
先月より開催中の第28回国民文化祭・やまなし2013の富士の国やまなし国文祭フットパス関連事業でもあります。

*キャンパスネットやまなし
*富士の国やまなし国文祭公式ホームページ
 第28回国民文化祭・やまなし2013
 愛称:富士の国やまなし国文祭 平成25年1月12日(土曜日)~11月10日(日曜日) 303日間

史跡文化財セミナーを2月に開催したのは初めてでしたが、有り難いことにたくさんのお問い合わせ、お申込みをいただきました。ありがとうございました。
(開催の1か月前からの参加お申込みを開始し、もう2月の2週目には定員を超え、参加お申込みを締め切りました。参加できなかった方、すみません。次回以降のご参加お待ちしております。)

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集合・はじめの会 千塚公園 

セミナーの講師には、甲府市教育委員会 平塚 洋一氏をお迎えしました。
数年前に開催したセミナーでも講師を務めていただきました。
平塚さんのお話し(解説)は大変楽しいです。
*第36回 史跡文化財セミナー 「川田町と旧甲州街道」

当日は、寒さと強風が重なった日でしたが(当日の最高気温6℃、風速 11m)、参加された方はとても元気でいらっしゃいました。

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金塚西遺跡
集合場所の千塚公園は、実は金塚西遺跡という遺跡です。
金塚西遺跡は、山梨県指定史跡 加牟那塚古墳の西に隣接します。
千塚公園の造成に先立って調査は行われ、試掘調査の結果、古墳時代から平安時代の集落跡が発見されました。
公園の造成工事なかでも遺跡に影響が及ぶ、管理棟及びトイレ(2 棟)地点について本調査が実施されました。
管理棟地点からは平安時代(8 世紀後半から9 世紀)の竪穴建物跡、さらに下層から自然流路とそれに直交する溝跡が見つかり、溝跡からは古墳時代(4 世紀)の土器が大量に出土しました。

すぐ東にある山梨県指定史跡 加牟那塚古墳へ。

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山梨県指定史跡 加牟那塚古墳
6世紀後半に築造された円墳。
墳丘は直径45m、高さ約7.3m。
2段構成。葺石が葺かれ、埴輪が並んでいたと思われます。
器材埴輪、馬形埴輪など各種埴輪片が見つかっています。
(今、少し埴輪片が拾えるようです。)

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埋葬施設は横穴式石室。
(県内では県指定史跡 姥塚古墳(笛吹市)に次いで2番目に大きい規模を誇ります。全長16.75m、奥壁幅3.3m、奥壁の高さ3.2m)
昭和43(1968)年に山梨県指定史跡に指定。

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特別に石室の中へ入らせていただきました(普段は石室の入り口にはカギがかけられており入れません)。
とても大きな石が積まれています。

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貴重な機会とあって写真を撮られている方が多数いらっしゃいました。
暗い石室の中を撮影するためにライトを準備をされていた方も…。
石室内を見られることができて皆さん満足そうでした。

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古墳の墳丘にのぼりました。
(墳丘の上も強風でした。)

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湯村山などを望むことができました。

称念寺(証文塚古墳)へ。

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称念寺
千塚古墳の北側にあるお寺です。
このお寺の境内には証文塚古墳という古墳があります。
「お墓の上にお墓がある」という不思議なフレーズ。
この意味は?後ほど。

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法事の予定が入っていたのも関わらず、甘酒などを振舞っていただいたり、資料をいただいたりしました。
参加者の方は寒い中歩いてきたので、あったかい甘酒にほっとしたようです。

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住職様にはお忙しい中、ご説明いただきました。

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ここから見つかったものも見せていただきました。

ここで先ほどお話しした「お墓の上にお墓がある」という意味は?ですが、
実は本堂の裏の墓地の下には証文塚古墳という古墳がありました。
古墳の上に今のお墓があるということです。
今でも古墳の高まりを確認できます。
少しばかり見学させていただきました。

かつて千塚はその名のとおり多くの古墳が千塚を中心とした地域に築造されました。
今は宅地化が進んでしまったので、その姿をものはほとんどみられません。

最後に称念寺様から参加者にお土産もいただきました。
ありがとうございました。

千塚小学校(塚本遺跡)へ。

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塚本遺跡
千塚小学校の校舎新築工事に先立ち発掘調査が行われました。
建ったばかりのきれいな校舎です。
ここでは古墳時代の方形周溝墓などがみつかったようです。
出土品の一部は校舎内に展示されているそうで、学校を訪問することがあればぜひ見てほしいとのことでした。

史跡学習公園信玄堤へ。

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途中の音羽橋はすごい強風。耳が痛くなる寒さでした。
荒川沿いを歩きます。
桜の木があったので春になればきれいだろうななどと思いながら。

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信玄堤は武田信玄が氾濫を繰り返す釜無川の水を治めるために築造されたと伝えられる堤です。
信玄堤は、甲斐市(旧竜王町)に築造されたものが広く知られていますが、実は甲府市の荒川にもあったそうです。
現在の山宮町付近から大里町付近にかけて築造されたそうですが、今はほとんどが消滅しているそうです。
面影が見られるところもあります。

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信玄堤は堤防が不連続に、そして一部重ねたような構造をしています。
その構造は、霞がたなびくようにみえることから「霞堤」とも呼ばれています。
ここには、霞堤のミニチュアがあり、霞堤の構造を知ることができました。

甲府市指定文化財 穴塚へ。

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穴塚
市営の団地の北側にあります。
6世紀後半築造の円墳。
直径約20m。高さ約3m。
埋葬施設は横穴式石室。
昭和55(1980)年、甲府市指定文化財に指定。

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墳丘にのぼってみると、石室の天井石(2枚現存)が露出し、石室がポカンと穴のようにありました。
石室の奥までは入りませんでした。

荒川流域において現存する数少ない保存状態が良好な古墳です。

お昼のため、千塚公園へ。

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途中の道で…今年の梅の開花は遅いです。やっと咲き始めたようです。

千塚公園に戻り、それぞれ昼食を取りました。
強風の中、公園のベンチで昼食を食べる方もおりました。
皆さんバイタリティのある方です。

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午後の見学、万寿森古墳へ。
この見学を目当てに参加された方もいらっしゃいました。

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万寿森古墳
湯村山の山裾にあります。
6世紀??築造、直径約31~38m、高さ約5mの円墳。
埋葬施設は横穴式石室。

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古墳は草木に覆われています。
石室入口の草を事前に刈っていただき、特別に石室の中へ入らせていただきました。
(普段は入れません)

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石室は全長約14mあり、壁は安山岩の自然石の乱積みです。
石室は江戸時代には硝煙蔵に、近年までは、ホテルの倉庫として利用されていました。

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皆さんここでもこんな機会はなかなかないということで写真撮影は欠かせません。

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外に出て裏手に周りました。
数年前に甲府市教育委員会による調査がありました。
周溝がみつかったようです。
加牟那塚古墳より先行する古墳です。

湯志麻稲荷神社へ。

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湯志麻稲荷神社
万寿森古墳から少し西側に行ったところにあります。
湯志麻稲荷神社はかつて湯村温泉の芸子さんが安全や商売繁盛を願ってお参りした神社であり、芸妓(げいぎ)稲荷神社とも言われていました。

湯村温泉方面へ。

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湯村温泉
小説家の太宰治は湯村に何度か来たそうです。
執筆活動も湯村の旅館でしたとか。
今は、「湯村温泉郷ゆかりの人物資料室」で太宰治が紹介されているそうです。

湯谷神社へ。

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湯谷神社
この神社は、秋葉権現、大宮さん、それに湯村温泉郷の守り神である湯谷大権現を合せて祀っています。

塩澤寺の方面へ。

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鷲の湯の跡
湯谷神社のすぐ西にあります。
「鷲の湯伝説」と「鬼の湯伝説」があります。

塩澤寺へ。

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塩沢寺
毎年2月13日の厄除地蔵尊祭りが開催されることで有名なお寺です。
福田山塩澤寺は、真言宗智山派。
大同3(808)年弘法大師(空海)が開山、天暦9(955)年空也によって開かれ、後に蘭渓道隆(貞和6(1350)年頃)により再興されたと伝えられています。

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山門の脇には、「舞鶴の松」と呼ばれる山梨県指定文化財 天然記念物のクロマツがあります。

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国の重要文化財に指定されている地蔵堂。鎌倉時代末期と推定。
本尊の石造地蔵菩薩座像(山梨県指定文化財)が安置されています。
特別に中を見学させていただきました。

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本尊、地蔵菩薩。
鎌倉時代末の自然の岩盤を台座とする石の地蔵菩薩でです。

講師もこんな近くでは御本尊を見たことがないとおっしゃっていました。

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こんな機会はめったにないということで近くでじっくり地蔵菩薩さんを眺めました。
厄除けにもなったでしょうか!?

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塩澤寺様からご供物を参加者の方々にいただきました。
ありがとうございました。

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寺の境内の弥陀種子板碑(えんたくじあみだしゅじいたび 山梨県指定文化財)や五輪塔を見学しました。

弥陀種子板碑は、高さ2.15m、幅約1mの板碑であり、上方に阿弥陀種子が、その下には北朝年号の貞和6(1350)年の紀年銘、造立趣旨、願主名が刻まれ、左側面下部には大工名が刻まれています。願文・紀年・願主・大工の4つが完備されている例はまれであり、貴重な資料といえるそうです。

この奥の山の中にある大平古墳へ。

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大平古墳
1号墳と2号墳を確認することができます。
3号墳は消滅。
1号墳は、墳丘は削平され、石室が露わになっています。
6世紀頃の円墳(直径20m以上か?)です。

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埋葬施設は、横穴式石室。
覗くのみ。

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2号墳。
こちらも破壊を受けており、石室が露わになっています。
直径約15mの円墳。

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埋葬施設は横穴式石室。

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中に入って見学しました。
加牟那塚古墳や万寿森古墳より小さな石室です。
これらの古墳をみて、この地にたくさんの古墳が造られたことを実感しました。

これで見学を終わり、千塚公園へ。
千塚公園も無事到着しセミナーを終了しました。

本日もよく歩きました。約12,000歩 約7km。
普段は入れない石室内入ったり、秘仏のご本尊を近くで見たり、スペシャルな見学で参加された方も寒さも忘れて満足そうでした。

このセミナーに参加された方の中に、当日撮影した写真をご自身のブログへ掲載されている方がいらっしゃいました。記事を検索してみてください(その方はいろいろな古墳を巡られているようです)。

これで今年度の史跡文化財セミナーは終了となりました。
どの回もたくさんの皆様にご参加いただきましたこと感謝申し上げます。
(協力員の方にも毎回何人かの方にご参加いただきました。ありがとうございました!)

次回の平成25年度第1回目の史跡文化財セミナー、第57回史跡文化財セミナー「信玄公の御館を訪ねる」は4月28日(日)に開催します。
甲府市にある国の史跡である武田氏館跡などを歩いて巡る予定です。
参加お申込みは、開催日1か月前3月27日(水)より受け付けます。
《お申し込み先:山梨県立考古博物館 電話 055-266-3881 考古博物館ホームページからもお申込みいただけます》
史跡文化財セミナーは、大変人気企画のため、参加をご希望される方は、お早めに参加お申し込みください。
(ご案内は3月27日までに考古博物館ホームページに掲載されます。)
この史跡文化財セミナーは春季企画展「武田と城と城下町~信玄たちが駆けぬけた時代~」関連企画でもあります。
春季企画展は、考古博物館で4月27(土)から開催します。
こちらも別の機会にぜひご観覧ください。(6月30日(日)までの開催)

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2013年03月21日 17:01に投稿されたエントリーのページです。

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